『レゴ 競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』蛯谷 敏著

レゴはなぜ、模倣されても揺るがないのか?
かつて、レゴは特許が切れたことで数多くの類似品に囲まれ、一見するとブランドの存続が危ぶまれる状況に陥りました。それでも、レゴはGAFAに匹敵するほどの企業へと成長し、今や世界中の子どもから大人までを魅了し続けています。なぜレゴは、競争と模倣を乗り越えて唯一無二のブランドとして存続し、発展し続けているのでしょうか?本書『レゴ 競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』では、その秘密に迫ります。
創造の力を解き放つ、レゴの魔法
「レゴを贈ったら、普段はすぐに飽きる5歳の孫が、設計図を見ながら時間を忘れて組み立てていた。」これは、多くの人が経験するレゴの魅力の一端に過ぎません。レゴには、ただのブロックではない、創造性を引き出す魔法が宿っています。グーグルの職場にレゴが置かれているのも、その想像力を刺激する力が評価されているからです。
レゴは、単なる玩具ではなく、「組み立てを体験すること」が本質です。手を動かしながら何かを創り上げるプロセスが、人間の創造力を高めるのです。そして、その体験こそが、他の類似品には真似できない「レゴブランドの価値」なのです。
スーパーファミコン登場で苦境に立たされたレゴの歴史
しかし、この強固なブランドも、一度は存続の危機に陥ったことがありました。スーパーファミコンが登場すると、子どもたちはテレビゲームに夢中になり、レゴの売上は急降下。黒字経営から一転して、大幅な赤字を抱えることになったのです。
そこでレゴは、多角経営に乗り出しました。テーマパーク事業、ゲームソフト開発、さらには当時ヒットしていた映画のモデルを取り入れたレゴ製品の展開。しかし、これらの施策はことごとく失敗し、赤字はさらに拡大。倒産の危機に瀕しました。
原点回帰でV字回復を果たすレゴの決断
このままではブランドが崩壊してしまう——。レゴが下した決断は「原点回帰」でした。赤字事業を売却し、レゴの本質である「ブロックの製造と開発」に集中することにしたのです。この決断が功を奏し、レゴは見事なV字回復を遂げ、世界最強のブランドへと返り咲きました。
「組み立てる体験」が人の成長を促す
本書では、レゴが単なる玩具ではなく、「創造性を養うツール」としての価値を持っていることが繰り返し強調されます。幼少期にレゴで遊ぶことで、子どもたちは試行錯誤を繰り返しながら創造力を養うことができます。また、大人がレゴを使うことで、思考を整理し、価値基準を明確にすることができるのです。
レゴのミッション:「ひらめきを与え、未来のビルダーを育む」
レゴの成功の背景には、単なる商品展開だけではなく、企業としての強いミッションがあります。「ひらめきを与え、未来のビルダーを育む」——この理念のもと、レゴは常に進化を続けています。
レゴが世界で愛され続ける理由、それは単なる「組み立てる楽しさ」だけではなく、「創造する喜び」そのものを提供し続けているからです。本書を読めば、レゴの成功の秘密を知るだけでなく、創造性を育むためのヒントを得ることができるでしょう。
あなたも、レゴの魔法を体験してみませんか?